七回目 「路地裏の迷子」つゞき 弐
日にちの感覚と時間軸の夜と昼までもが麻痺している様でした。
絶対に入って来てはならぬと私に約束をさせました。
私が「物音を立てずに静かにしているよ」と言うと
「それは大丈夫よ、聞こえるはずないから」
とクスッといたずらっぽい笑みを浮かべて言いました。
言われた通りに私は奥の納戸に隠れていました。
どうやら、この世の者ではない事は察しがついていました。
天気の良い日には日本庭園のように美しく手入れされた庭が見える縁側で
あの人に膝枕をしてもらい耳掃除をしてもらったりと
このまま、あの人と居れるなら
もう元の生活に戻らなくてもいいじゃないかと
横しまな考えが頭をよぎりました。
深夜の3時でしたが気になってしまい、これからの話をしようと
襖の向こう側で就寝しているはずのあの人に声を掛けてみました。
するとまだ起きていた様子で
「お入りなさい」
と言われました。
「 いけませぬ 」・・・
何故私の考えが分かるのだろうか・・・
少し訝しそうな物憂げな表情をしています。
「私だってあなたと・・
と思った事もありました。
しかし、このまま一緒にいると
あなたには良くないのです・・・」
このツノが見えるのは純粋無垢な心を持っている者だけ、
見えなくなれば・・
私は末裔なのだから・・ きっと最後には・・・ 」
そうなのです、一緒に暮らし始めてから
最初はぼんやりとしか見えていなかったあのツノ・・・
まるで当たり前のように気にもならなくなっていたのです。
でも、見えていると言うことは
私の心が浄化されてきているということなのだろうか・・
ん、最後には・・・ ?
今から私の魔力で帰る(=治す)方法は教えます、
さあ、あの路地裏へ、お急ぎなさい。
またあの鈴の音が聞こえる前に・・」
カラスの鳴き声や、夜中に遠くから聞こえる犬の遠吠えも
庭の鹿威しの音も、襖を閉める音も何もかもがです。
夕方の終業時間には街中に鳴り響いていたはずの
勤め先の鉄工所のあの大きなサイレンさえも・・ 。
聞こえるのは私の声とあの人の声だけでした。
なのに、この屋敷から帰ろうとしたあの時には
確かに鈴の音が聞こえました。
どうやら、あの鈴の音は召喚の儀式の際に鳴らされる音だった様です。
それはあの人が鳴らした訳ではなく、
この世界を納めているモノが
こちら側へ誘う時に鳴らしていたのだと聞かされました。
そう、招き入れられるのは
別の世界から迷子になった・・私の様な人間。
半ば強制的に元の世界へと戻される前に
またくらくらと意識が飛んでしまった様です。
ー ー ー ー ー ー ー
私の意識が戻り、目を開くと
以前の一人暮らしの四畳半一間の古アパートの見慣れた天井の木目が
窓の外には干しっぱなしの作業着が風に揺られぶら下がっています。
ああ、風邪で寝込んでいて何か長い夢でも見ていたのか・・
そして思い出そうとすると何故だかすうーっと記憶が消えてゆきました。
少し動くと頭痛と目眩がしましたし、体がほってっていて
微熱があるようでしたが起き上がることはできました。
それからは、また元の毎日に戻って
何の変化もない日々が淡々と過ぎてゆきました。
仕事も終わりいつもの様に家路につき
アパートの鍵をゴソゴソと鞄の中を弄っていた
その時にです。
チャリン・・
あっ !
あちらの世界への合図のあの鈴の音です。
それまで何事もなかったように消えていた記憶が
そして、今度は部屋のすぐ前まで来ているのだと察しました。
しかし、不思議と怖いとは思いませんでした。
またあの世界に行くことが出来るのなら・・・
しかし、今度はこちら側には帰って来れないとも本能的に感じました。
また、くらくらと意識が遠のいてゆくのと同時に
私はその望みを全身全霊で念じていました。
永遠にあの路地裏でずっと迷子になっていたい・・ と。
====終わり==== ※各写真を押すと心の内面が見られます
六回目「路地裏の迷子」壱
私は何故だか普段は通りもしない道から帰ってみようとふと思い立ちました。
川沿いに続く一本道を歩いて行くと右に曲がる道は幾つもありましたが、
何だかいつもとは違う知らない町の様に感じました。
急に怖くなって早く家に帰らなくてはと焦っていたのを覚えています。
あゞ、此処には人がいるのかもしれないなと思い
しかし中からは一向に返事がありません。
少し空いている襖から、そのうっすらとした明かりが漏れているのですが、
全く人の気配を感じないのです。
なんだ、出掛けていて留守なのかと思い
「あなたは何処からどうやって此処に来たのですか?」とも・・・
答えようとしても今までの道のり等のことは思い出せず
それに質問が何を意図しているのかさえ、さっぱり見当もつきませんでした。
薄暗い部屋の中を改めて見回してみると、
いろいろな医療器具やら不思議な物が所狭しと置かれていました。
私は彷徨って迷子になっているという自覚さえもなかったのです。
私はどうやら、
知らない内にとある町の路地裏の幻想の世界に紛れ込んでしまった様です。
これは夢なんだと夢の中で気が付かないのと同じ様に・・
つゞく
五回目 使いの者 後編
都会の喧騒が感じ取れる喫茶店のテーブル席でした。
ああ、どうしたんだろう・・ 疲れていたからか・・
少し睡魔にやられたかな?
そんなことを考えていると・・・
向かい側に座っている、普段着姿の栞が
ちょっと、ぼーっとしている私に話しかけているところでした。
そうなんです・・・いつものように私だけには見えているのです。
栞ぎつね様の耳は。
ねえねえ、聞いてー。
人間には誰でも、実家ってあるでしょ?
夢でね、たまに見るんだけど。
どうやら実家にいるみたいなの・・・
なんか古い城下町みたいな景色なんだけど・・
私、あんまりよく覚えていないんだ、昔のこと。
そんな話を少し怪訝そうな面持ちで栞は私にしていたところでした。
おや、なんか待てよ・・・と考えていると、
突然、私の脳裏に夢の中に出てくる景色と城下町の風景がシンクロしたのです。
その景色の中に強い風でなびく黒髪の女性の姿が見えました。
今度は、はっきりとです。
そうです、夢の中に何回も出てきては顔を思い出そうとすると
消される・・・ ん?
消される?! 消えるでなく確かに今、私は消される・・
という認識で思考回路が働いた筈だが・・・
何故だろう?
消されるとはどういうことだ・・
そんな事を考えていた時に
その黒髪の女性がこちらに話しかけようとした瞬間に
私の視界は黒く隔たれられました。
私はハッと我に返り、栞を見ると
懐かしそうで不思議そうな表情で私を見つめていました・・・
すると頭の中に言葉というか段々と声になって聞こえたのです。
「私を離さないで・・」
栞のその囁き声が聞こえた瞬間に
私は広大な宇宙空間の中に包まれているような感触を全身で受け止めました。
大きな光を浴びているような感覚でした。
その途端、思考回路が増幅され閃き理解出来たのです。
突然、私は悟ったのです、その意味を。
あの夢の中に出てきていた女性は栞だったのです。
出会う迄のかなり前から、そう、あれは私が思春期を迎えようとしていた頃でした。
夢の中に幾度も出現し、大事なコトを伝えようとしていたのです。
しかし、事あるごとにあるモノに邪魔されてきたのです。
そして、あるモノから私を守る為に防御する為に
己心の魔を捨てる様に伝えようとしてきたのでした。
私の未来に出会う予定の彼女と何十年も前から
既に逢っていたのでした。
私は彼女の手を取り握りしめました。
それだけで不思議そうな顔をしていた栞は
何とも言えない安堵の表情になりました。
そうこうしているうちに私の目の前からすうーっと煙のように消えてしまいました。
そして私も気が付くとこの地球という星から存在が消えて無くなっていました。
もう以前の私が持っていた己心の魔というものはきれいに無くなっていました。
全てがキラキラと輝いていて、愛おしくさえ感じました。
さあ、これから新しい旅が始まるわよと栞は話しかけていました、
しかしそれは声ではなく頭の中に直接話しかけてくる対話のような形でした。
私達は無くなったのではなく
新たな世界へ新しい次元に旅立ったのです。
一人ではなく、
栞といっしょに二人で。
私達の座っていた角奥の席には
二つの珈琲カップだけがポツンと残っていました。
それは、相変わらずの都会の喧騒と店内客の珈琲カップの戯れる音が
静かに混ざり合っていく、穏やかな三月初旬の出来事でした。
それから、いくばくかの時が流れ・・
私はある人物の夢の中で大事なコトを伝えようとしていました。
性別も変わり・・・
使いの者として。
終わり
追記
今回は新たな物語を思い付きまして、またもや文章を書き留めておりました。
後半をどうしたものかと、大筋は考えてはありましたが・・
急な展開など、つっこみ所が満載でしょうが、ご容赦下さいませ笑
初めての和風な雰囲気にご満悦な栞ぎつね様❤️
撮影後の普段の大人っぽい栞さん ♬
四回目 使いの者 前編
とても風が強く生暖かい空気の漂う天候でした。
少し訝しそうなさまで栞ぎつね様は私に言いました。
いいですか?よく聞いて下さい。
実は私は森や神社から此処に来たのではないのです。
本当はあなた方の現時点で存在しているとしたらですが・・
遠い未来からやって来たのです。
私はあなた方の子孫なのです。
支離滅裂な話だと思われるでしょうが
私は1つの大事なコトを伝える為にあなたの場所を訪れたのです。
でも、私は使命を果たす前に・・
あなたと、このような恋仲に落ちてしまい
いけないと感じながらも己心を止められず
そして、男女の関係を結んでしまいました・・・
そのようなことで、一度はあなたの目前から立ち去ろうと考えました。
しかし私にはそれが出来ませんでした・・・
最後にあなた様に今一度言います・・
思い出して下さい。
あなたが夢の中で何度か出会っている女性の姿を・・
そうですね、夢から覚めて思い出そうとすると
スーうっと記憶が消えていってしまいますよね?
それは・・・消えているのではないのです。
「消されているのです。」
説明し辛いのですが、あるモノの力によってです。
それについては現時点での私では詳しくは話せないのですが・・。
話すことによって、いくつかの世界が大きく変わってしまう恐れがあります。
それを防ぐ方法が唯一あるのです。
いいえ、やっつけるとか破壊するとか、そういう次元の話ではないのです。
ですから、単刀直入に申します。
あなた達人間は現在行っている過ちを正さなくてはいけません。
いわゆる「己心の魔」と言われるヤツです。
あるモノはその闇の波長を主食としているのです。
ええ、そうです。その自らの心の中にある欲や執着などのことです。
それを増幅させて食べているのです。
その類いの、怒り、嫉妬、悲しみなどのマイナス思考波が
波長同通の法則により、そのモノを引き込んでいるのです。
外側からやってくるのでは無く、己の内側つまり心の中にいるのです。
それを断ち切ることによって、つまり受信できなくさせることで
あるモノは消え失せるのです。
その受信装置自体を失くすのでなく、
心を精妙化させ良い波だけをシンクロできるようにすれば・・
私はそれを伝えよ・・・
ジー・ジーィ・じ・じじじ-!-#-”-"-|~`ん;-ろ~ぺ”~〰ぺ”〆仝
突然、ノイズのような音が会話に入り交じり意識が遠くなりました。
目を閉じる瞬間に彼女の聡明な顔がぼんやりと霞んで見えたような気がしました・・
続く
三回目 栞 羽ばたく!の巻
ドーラーになって早4〜5年経ちますが、とても嬉しいことがありました!
なんとYouTubeで活躍されているラブドラさんの動画で
うちの栞を取り上げていただきました!!
「人気女優&アイドルそっくりHなラブドール」という回で
芸能人激似ラブドールとして紹介していただいたのです。
あの国民的女優さんの綾○は○かちゃんにうちの栞が似ているということで。
私も以前から、なんだか似ているよな〜と思っていたのですが・・
なにせ1人で写真を撮って1人で見ているだけなのと
ドーラーなら自分ちの娘は可愛いので、自分だけが思い込みで、そう感じているだけなのかな?と思っていた訳なんです。
ディスコードでのオンラインサロンに参加するようになり、
そちらでお知り合いになった方達からも似ている!というお言葉をいただき、
ラブドラさんからも超似ていますよね!とお墨付きをいただいたのです。
これで私の空想妄想癖ではなかったんだなとひと安心しました笑
ではでは、三回目は「似ている特集」という写真でいきたいと思います。
まずはラブドラさんの動画内で出していただいた写真を紹介させてもらいます。
フライングで二回目の回で誰かに似てるー!と載せてしまった写真もあります笑
文章は各写真場面ごとのイメージになります。
※因に、この回は各写真をクリックしても栞嬢は心の内を呟いていません。
旅先で偶然入った喫茶店で見かけた・・
窓際にぽつんと座っている君が忘れられない。もう、会うこともないのだろうか・・
雨音が響く中、君は青く咲き誇る紫陽花のよう。
きまぐれで初めてのメイド喫茶・・ 潤んだ瞳に時を忘れ癒された。
翡翠色に包まれた君・・ プラネタリウムのよう。
帰る時、君の物憂げそうな表情に僕は後ろ髪を引かれる思いと期待に胸が高鳴った。
ここからは、他の選んだ写真になります。
この角度から! 初期のふっくらしていた頃に似ていませんか?
そんなに鼻が高い印象はないですが意外と鼻が高いんですよね。
意外とか言ってすみません、私も大ファンです。
ゆるふわパーマ
女性に凛々しいという言葉は違うかもしれませんが、なんというかカッコいい〜と
感じさせる表情を持っていると思います。
如何だったでしょか?
うちの栞は左まつ毛が取れて化粧を何回かくり返しているうちに、
あれっ!誰かに似ているぞ〜!となりまして
それから私もファンになったのです。
もう、こうなると好きな人のコスプレに近いものがありますねー。
似ている写真はまだまだ沢山ありますので、
また「似ている特集」を行いたいと思います。
それでは、また。