追憶の夢幻館

Archive: 2022年02月  1/1

六回目「路地裏の迷子」壱

                ※ 写真を押すと栞嬢の心の内が見られます。   あれは十数年前の出来事でした。仕事も終わり、油にまみれて真っ黒になった手を洗い身支度をし、長くそびえ立つ煙突からモクモクと煙を吐き出している鉄工場を背にして帰宅していた時の話です。私は何故だか普段は通りもしない道から帰ってみようとふと思い立ちました。川沿いに続く一本道を歩いて行くと右に曲がる道は幾つもありましたが、何...

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